TOPHOTASの目 分析・解説記事大学入試小論文
  大学入試小論文
2. 大学入試
2)大学入試 作問者側から見た入試問題

「これくらいの,あるいはこういう学力をもった子が,ウチの学校に入学してほしい」
 中学校の入試科目,高校の入試科目,大学の入試科目,これらはいずれも受験生を受け入れる側が,問題を作り,受験生に課すわけです.中学入試であれば,中学校の先生が受験する小学生に対して出題し,高校入試であれば,高校の先生が受験する中学生に対して出題します.そこには「これくらいの,あるいはこういう学力をもった子が,ウチの学校に入学してほしい」といった願いがこめられています.

 中学入試では原則4教科(国算社理),一部2教科(国算)の場合もあるでしょう.高校入試では,国公立は5教科(英国数社理),私立だと3教科(英国数,英国社等)が一般的でしょうか.そしてこれらの入試問題は公立高校を除く(一部例外あり)と自分たちの学校で作成するのが基本です.中学入試では,その中学校の国語科教師が国語の問題を作り,数学科教師が算数の問題を作ります.高校入試の場合も同様ですね.ここまでは「何を当たり前のことを言っているんだ?」という感じですね.ごもっともです.ただもう少し我慢してください.

大学入試の場合は誰が作問しているのだろう.
 では,大学入試の場合はどうでしょうか.大学入試ももちろん,自分たちの学校の入試問題は,自分たちの学校で作成するのが原則です.すると誰が作問しているのだろう,ということになります.一般に中学や高校の教師は広く浅い知識が要求されます.「浅い」というのはちょっと語弊がありますが,大学の先生に比べて浅いと解釈してください.例えば「国語科教諭」といった場合,自分の得手不得手は別にして,現代文・古文・漢文,加えて多くの場合は小論文の指導を担当します.「社会科教諭」も同じです.最近は高校では「地歴」と「公民」に分かれましたが,例えば「地歴」であれば,「地理(日本地理+世界地理)」「日本史」「世界史」が守備範囲ということになります.ものすごい広さともいえますが,多くの国語科教諭,社会科教諭は当たり前のように授業をしてきました.他の教科の教諭も似たような状況です.

大学教員の場合,教育者であると同時に研究者でもある
 対して,大学の先生はどうでしょうか.まずここで考えなければいけないのは中学や高校の教諭は原則教師としての側面しか持ちませんが,大学教員の場合,教育者であると同時に研究者でもある,ということです.大学は教育機関である同時に研究機関でもあるからです.昨今の研究領域はどんどん細分化されていますね.例えば「文学部の教授」といっても,その専門は,国文学であり,なかでも中古文学,特に『源氏物語』の専門家といったようになっていて,文学全般に通じているというわけではありません(もちろん,そういう先生もいらっしゃるでしょうが,一般論です).これは歴史や数学についても同様のことがいえます.中学や高校の教師をゼネラリストとするなら,大学の先生はスペシャリストといえるでしょう.それでも,『源氏物語』を専門とする先生が古文の問題を作るというのは可能でしょう.では,現代文はどうでしょうか?そもそも「現代文」に相当する科目は大学にはありません.文学部(国文科)には「国語学」という科目がありますが,これは高校までの「国語」とはまったく別個の学問です.
 つまり,現状の大学入試問題は,大学の先生は専門でない科目の問題を作っている,という側面があるのです.

注)紛らわしいので,本稿では下記表記統一します.
 ※1. 高校の「地歴科」「公民科」→「社会」もしくは「社会科」
 ※2. 旧国公立大学,国公立大学法人→「国立大学」もしくは「国公立大学」


続く

 
大学入試小論文
1. 大学入学後に必要となる力
1) 大学では何を訓練するのか
2) 「科学」を研究するには何が必要か
3) なぜ大学入試で小論文が課されるのか

2. 大学入試
1) 大学入試 入学試験の性質
2) 大学入試 作問者側から見た入試問題

3. 大学入試 小論文
1) 小論文は他の教科・科目とは根本的に違う
2) 入試科目としての特殊性
3) 大学入試に小論文が導入された経緯1
4) 大学入試に小論文が導入された経緯2
5) 小論文の分類 課題文型と一行問題型


COPYRIGHT(C) MEDIA-JIN.ALL RIGHTS RESERVED.
著作権者(株)メディア人 転載・複製・頒布等禁じます。