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帰国子女にとって「国語」は鬼門か(4)

日本語教師と国語教師
 実は帰国子女諸君に対する国語教育とはこの点をしっかりふまえないといけません。この点をふまえた対策が必要なのです。これは帰国子女に限りませんが、対策とは常にゴール位置を見極めてから、現時点でやるべきことを個人個人の能力から逆算しないと学習事項が膨大になってしまいがちです。特に教える側は万全を期すためにあれもこれもとたくさんのことを教えたがる傾向にあります。教えてないことが出されるのが怖いんですね。しかしもし、一般生と同じ位置に帰国生のゴールが設定されているとしたら悲劇です。同時に、日本語を母語とする諸君と同レベルの授業をし、同レベルの国語力を要求することがいかに乱暴なことか、御理解いただけたかと思います。
 従って、本来ですと、帰国子女諸君に国語を教える専門の教師が必要なほどです。そもそも我が国に日本語を教える教師は2種類います。「日本語教師」と「国語教師」です。日本語教師とは、日本語を外国語として扱う、つまり日本語以外を母語とする人に外国語としての日本語を教える教師で、外国人が対象です。対して国語教師とは、日本の学校教育における教科「国語」を、日本語を母語として、古典(古文・漢文)も含めて広く教える教師で、多くは日本の児童・生徒が対象です。

 その上、外国語としての日本語教育と学校での母語としての国語教育の間には大きな乖離があります。例えば両者で扱う文法体系は全く異なります。従って両者にはそれぞれの教員養成プログラムが存在し、国語教師がそのまま日本語教師をする、あるいはその逆というのは事実上不可能なのです。加えて両者には交流もありません。なぜそうなのかはここでの議論からそれますから、触れませんが、帰国子女諸君はそのはざまにポツンと取り残されてしまっている状態なのです。英語のわかる日本語教師に日本語を習っても学校での国語は身に付きません。従って受験にも対応できません。かといって国語教師の多くは、日本語を母語としない人がつまずきやすいところには無頓着です。だからといって彼らを責めてはいけません。彼らは日本語を母語とする生徒を教えるのに忙しく、加えて学校という組織の中でその業務の多さに疲れ切っているからです。

 それでも、と私は思います。帰国生受入れの問題はまぎれもなく学校の問題です。従って学校の教師が、少なくとも学校教育がわかっている教師が彼らの指導を担当すべきでしょう。しかし学校現場が混乱し、教師の過労死が社会問題となっている昨今、これ以上の仕事を現場の教師が担当するのは難しいし、酷でもあります。とすれば、過渡的にでも学校教育がわかっていた外部の者、仮に私塾でも元国語教師等が担当すべきことではないでしょうか。少なくとも私はそう考えて、この講座を開設しました。

(5)へ続く



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